相関があっても因果はない ― 偶然の一致コレクションの楽しみ方
少子化と固定電話の減少に相関がある?e-Statの公開データから見つけた「意味のない相関」の面白さと、統計の正しい読み方を解説。
「ニコラス・ケイジの映画出演数と、プールでの溺死者数には強い相関がある」。
これはアメリカのデータサイエンティスト、タイラー・ヴィーゲンが収集した有名なスプリアス相関(見せかけの相関)の例です。もちろん、ニコラス・ケイジが溺死事故を引き起こしているわけではありません。
ネタラボの「偶然の一致コレクション」では、日本の公開統計データからこうした面白い相関を探して楽しめます。
スプリアス相関とは
スプリアス相関(Spurious Correlation)は、2つの変数の間に統計的な相関は認められるものの、因果関係がまったくない現象を指します。
相関係数は-1から1の値を取り、1に近いほど正の相関、-1に近いほど負の相関が強いことを示します。しかし、相関係数が高いことと、一方が他方の原因であることは別の問題です。
e-Statから見つけた「偶然の一致」
ネタラボでは、政府統計の総合窓口「e-Stat」が公開する統計データを使って、面白いスプリアス相関を探しました。
厳選例:出生率と固定電話契約数
日本の出生率の低下と固定電話の契約数の減少には、非常に高い相関があります。相関係数は0.95以上です。しかし、固定電話を増やしても出生率は上がりません。どちらも「時代の変化」という共通の背景要因によって同じ方向に動いているだけです。
なぜこんな相関が生まれるのか
スプリアス相関が発生する主な原因は3つです。
- 共通の原因: 両方の変数に影響を与える第三の変数がある(交絡変数)
- 時間トレンド: 時系列データでは、どちらも「増加傾向」や「減少傾向」にあるだけで高い相関が出る
- 偶然: 十分な数の変数を比較すれば、偶然高い相関を示すペアは必ず見つかる
特に3番目は重要です。e-Statには数千の統計データセットがあり、すべてのペアの相関を計算すれば、まったく無関係なのに相関係数が0.9を超えるペアが大量に見つかります。
ガチャで「自分だけの偶然」を発見
コンテンツのメイン機能は2つです。
厳選10選モード
あらかじめ選んだ面白いスプリアス相関を、グラフとともに紹介します。それぞれ「なぜ相関があるように見えるのか」の解説付きです。
ガチャモード
ランダムに2つの統計データを組み合わせ、相関係数を計算します。相関係数が高いペアが出たら「大当たり」です。自分で発見した偶然の一致は、厳選されたものよりも記憶に残ります。
統計を正しく読むために
スプリアス相関を笑いながら眺めることは、実は非常に効果的な統計教育です。
「相関と因果は違う」という知識は多くの人が持っていますが、実際にニュースやSNSで「Aが増えるとBも増える、だからAがBの原因だ」という論法に出会ったとき、即座に見抜ける人は多くありません。
面白いスプリアス相関を多く見ておくことで、「相関があるだけでは因果とは言えない」という感覚が自然に身につきます。データ社会を生きるための、楽しい統計リテラシートレーニングとしてぜひお試しください。